Rs_Base of 間違いだらけの医療情報管理110318

Rs_Baseを利用した診療支援システムの構築 2009.2.5

これまでの医療情報管理

このたびのCTの更新、CR導入に際して院内の情報環境整備を行うこととしました。フイルムレス運用に伴いCT,CR以外の診療データの電子保管も行いたいと考えるようになったので紙カルテ下での新システム構築を検討しました。 
これまで当院では
 内視鏡画像 (3Z社 NF-700 、D-View PLUSによる自動ファイリングソフト)
 超音波画像 (日立 EUB-5500、 OCS-UV1 ファイリングソフト)
 血液生化学検査 (生化学のみ 医師会検査センター オンラインシステム CyberNET )
 紹介状作成 (ファイルメーカー ご紹介)
  を夫々個別のソフトを用いてデジタルデータ化しサーバへ保管し閲覧するのみで、相互に情報を共有したシステムではありませんでした。

 院内の検査機器で行った血液一般、尿検査、心電図、呼吸機能等の検査結果は印字された検査記録用紙をカルテに貼り付けているのみでデジタル化してファイリングしてはおりませんでした。また、レセコンからの頭書情報の利用は内視鏡検査のみでした。

新システムの選択  紙カルテへの検査用紙等の貼付不要

 院内の画像、検査データ等の診療情報を一括して管理、閲覧できる診療支援システム導入は従来よりの夢でありましたが私のスキルや費用的な面もあり躊躇しておりました。この度の新システム構築につきましては以前からその素晴らしさを存じ上げていた同じ県内の広島市の山下先生のRs_Baseを採用することでこの夢実現が可能と判断いたしました。
 Rs_BaseのDVDは昨年春に入手しその内容を勉強させていただいてはおりましたので、私の希望する院内の検査機器等との連携やその他の診療情報のデジタル保存が可能な診療支援システムであることを確信しました。
 Rs_Base利用により画像、検査データ、紹介状などこれまでカルテに貼り付けていた諸々の検査伝票や検査記録用紙類等を全て電子ファイリングされることとなりました。
 これまでの診察時には患者さんの目の前でカルテをめくって検査結果を確認したり、別に保管している検査結果綴りを取り出したりとかなり手間がかかること多くありました。また、デジタル化したデータも夫々異なるソフトを立ち上げるなどの面倒さがありました。これらが一つのソフトで一括管理、閲覧が出来、患者さんへの説明の手間も少なくなり、またカルテへの検査用紙類の貼付作業が無くなりました。これにより職員に時間的ゆとりが出来たり、カルテが厚くなるのを避けることで保管場所の節約が図れるなど種々のメリットが生まれるものと考えました。
 当院でこれまで電子化されたデータのなかった血液一般、尿、心電図、他院からの紹介状や返事等の文書も一気に電子化できることとなりました。 ちなみに以前電子カルテ導入を検討したときに血液生化学検査データ(医師会検査センター)の取り込みには無料対応しているが、院内の血液一般検査データの自動取り込みにはソフト代のみでも70万円の別途費用の見積もりをもらったことがありました。
今回も電子カルテへの移行も考えましたが、CT更新、CR導入もあり一度には能力的、経済的に無理が出てもいけませんので当面は紙カルテ続行としました。

Rs_Baseシステム構築の実際

Rs_Baseにつきましては山下先生はじめ先輩の先生方がすでに多くの実績を積み重ねておられ、Rs_BaseのMLで活発な情報交換が行われていますので、新米の私が言及することは控えさせていただきます。
 Rs_Baseの導入はCT,CR導入と同時にそのほかの検査機器等との接続設定等が必要となりましたが時間的余裕がなく、またスキルも十分で無いと思われましたので導入初期設定等はMedicai-In 渡辺さんにお願いいたしました。
CT、CR導入前にそのほかのシステム構築を行っていただき、CT、CR、CONQUEST,Rs_Base、KONICA I-PACS EX間の相互接続はCT後に行っていただきましたが、CT,CR担当者はRs_Baseとの接続経験があるようで順調に進みました。CT、CRとCONQUESTとの接続は各社とも初めてのようでしたが、何ら問題はありませんでした。AEタイトル、ポート番号等を相互に交換するのみで簡単でした。

現在、Rs_Baseへの接続機器は下記となっています。
   CT、CR、心電計、超音波検査機、血液一般検査機、尿検査機、スパイロメータをオンラインで自動取り込みが可能となりました。
   心電計はLAN端子がないのでICカード経由での取り込み。
   内視鏡検査は手動でRs_Baseへの読み込み操作でファイリング可能。
   院外血液検査 (FD渡し)
   紹介状、診断書等の文書のスキャナーによる自動ファイリング

院外検査結果報告書、院内検査結果用紙、心電図、呼吸機能検査結果用紙等のこれまで印刷されていた用紙は万一のデジタルデータ逸失に備えこれまで通り印刷して検査日ごとにまとめて箱に入れて保管しております。導入後3ヶ月ですがまだ紙データを探すことはありません。
スキャナー済みの紹介状等も一応時系列的に箱へ重ねて保管しております。
医師会検査センターからのCyberNet(オンライン送信)データ、内視鏡ファイリングは手いらずですのでバックアップデータとして残しております。院外検査結果はFD渡しのため届くのが少し遅れますのでオンラインでも結果が確認出来るCyberNet受信データは翌日早く来院された患者さんへの説明には重宝していますが、それ以外にCyberNetの方がRs_Baseの機能より優れていると思われた点は全くありません。
ただ、操作不慣れなために院外検査データの取り込み操作ミスでデータを失い、FDデータの再発行を依頼したことが数度ありますが、次第に慣れてきたところです。

Rs_Baseとの接続機器

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CT (Prospeed Ⅱ)  CR (REGIUS110)超音波診断装置(EUB5500)    尿検査 & RS232C-LAN変換装置

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内視鏡装置&NF-700   スキャナー&デジカメ 血液一般検査(pocH-100i) スパイロメータSP-350  心電計

内視鏡検査画像は記録装置(3Z社 NF-700)とRs_Baseのファイル構造の違いから現在は自動ファイリングが出来ず、手動でのファイル変換操作となっております。 内視鏡検査は多くても1日3例位なので検査終了後職員が変換操作をしておりますが、その手間がかかっても同一画面で画像閲覧できる便利さは一度享受しますと手放せません。Medical-Inの渡辺さんには何とか自動でファイル構造変換が出来ますようにお願いしてはおりますが、御多忙でまだ完成しておりません。
-->後日早急に対応していただき連携ボタンを作っていただきました。([その他} のブログ記事に記載しています。
 Rs_Baseはこのたびサーバは新規購入サーバ(DELL T100 HD 1T RAID仕様で5万円以下)、クライアントは新規購入ならびに既存パソコン&ワークステーション利用としております。

ORCAとの連携
ORCAとの連携によりBOX受付機能の利用、CRとのID連携等を行い入力の手間が軽減出来ております。

診察室モニター
 診察室の画像モニターはシステムの検討中にHP社のDMでモニタ半額セールがあり12万円位で購入可能でしたので30インチのカラーモニタを購入しました。
山下先生はRs_Baseでのフイルムレス診断は容認されておりませんので、薬事承認機も導入することでRs_Baseはあくまでも画像参照システムとして位置づけております。

楽しい診療
 Rs_Base利用開始後約3か月を経過しましたが、今では日常診療には欠かせないシステムとなり「楽しい診療」実現への第一歩となり当院の診療状況も大きな変化となりました。
 また、紙カルテに貼付する物が何もなくなり「紙カルテへ貼る物なし」診療にもなりましたので電子カルテへの移行は当分延期しようかとも思っております。

蛇足ながらシステムのバックアップは諸先生方も行っておられるようにRAID,StandbyDisk等によるデータのバックアップ,予備サーバの用意など行って万全を期しているつもりです。

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診察室30インチモニタ      30インチモニタだと大角フイルム2枚分(右はフイルム)